Magic Mouse レビュー。Apple の Magic Mouse を2週間使ってみて

買ってしまいました、Magic Mouse
結論から言うと、多機能多ボタンマウスどっぷりの人は「待ち」でしょう。そんなのはみれば分かるか。

私自身は今まで、Mighty Mouse を使っていて、中央ボタンに Spaces、サイドに Expose の全ウインドウを割り当ててた程度の、多分平均的ユーザ。
なおトラックパッドでは3本指、4本指のオプションをフルに使っていた。
そんな私の感想はというと、おおむね満足。買って良かった、といったところだ。
Mighty Mouse の手入れに苦労した身としては、手入れの手間が無くなっただけでも大きな進歩だw

それではさっそく。

慣性スクロールは快適

一番の売りであるタッチ操作は間違いなく慣れが必要だが、間違いなくすぐ慣れる。今ではこの上なく快適だ。ピンと弾いてポンと止める iPhone でもおなじみの操作感を Mac の広い画面で味わえる。Google 検索結果100件表示などのロングスクロールページもワンフリックで上下端までスクロールしてくれる(環境設定のスクロール設定は速い方から3番目)。速ければ良いというものではないが、ゆっくり動かせばゆっくり動いてくれる。ジリジリとピクセルレベルでのスクロールも可能。通常のスクロールホイールで「1単位の回転でn行分スクロール」等と決まっていてそれ以上もそれ以下も出来ませんというのがあるが、それと比べると使いやすさに格段の違いがある(これは Mighty Mouse のときからそうだったけど)。

このスクロールは「1本指で」とされているが2本指でも問題なく動作する。これは MacBookトラックパッドに慣れた身にとってはありがたい。うっかり2本指で操作してしまっても問題ない状況下で徐々に1本指に慣れ、しかるのち2本指フリックに(いつか出るであろう他機能ドライバで)他の機能を割り当てよう・・・と目論んでいる。ちなみに「マウスに指を2本置いて、そのうち1本だけ動かす」というやり方も可能だ。言葉にすると複雑そうだが多分これが一番自然な操作なんじゃないかと思う。わざわざ中指を持ち上げて人差し指だけで操作する必要はないということだ。

スクロール速度に関しては速すぎると慣性スクロールの恩恵をほとんど受けられなくなるので、「これだと思った設定の1コ下」くらいの速度がちょうどいいんじゃないかと思う。それに、速すぎるとコンテンツを視認できないので「ピンと弾いてポンと止める」の「ポン」の部分が事実上使えなくなる。ココが気持ちいいポイントなのに!!

とまあいろいろ書いたが、スクロールに関しては iPhone 同様、体験すると手放せなくなりそうだ。

戻る/進むジェスチャーも Good!!

戻る/進むジェスチャーも快適そのもの。ただしこれもやはり慣れが必要。指の構造上、左右にワイパーのように動かすのは誰しも苦手だと思う。私もそうだ。コツとしては「あんまり真面目にワイプしようとしないこと」。上下フリック同様はじくだけで認識してくれる。誤認識もない。指をマウスに置いた状態でピンと気持〜ち軽く左右に弾くだけでよいのだ。たぶん、Apple のサイトの操作見本ムービーの真似をしようとすると「使いにくいYO><」となる。
戻る/進むに関しては慣性スクロールのような「気持ち良さ体験」は得られないので、多ボタンマウスに対するアドバンテージはないように思う。もちろん、今まで Mighty Mouse を使っていて「トラックパッドのような戻る/進むが欲しいなぁ」と感じていた私のようなユーザにとってはありがたい機能だ。

最初店頭で試した時の第一印象は「なんじゃこりゃ」。第二印象は「ダメだこりゃ」

最初の10分間はまさか買うとは思わなかった。いちばんの売りのはずのスクロールをしようとするとすぐクリックしてしまうのだ。店頭だとどうしても上から操作するのにくわえ、普通のマウスと同じ力加減で操作すると、どうしてもクリックしてしまう。この力加減に慣れが必要で、ボタンが無いことよりも購入の障壁になるんじゃないかとさえ思う。力加減の問題は iPhone には存在しないのでその意味でも違和感があった。戻る/進むジェスチャも最初はやりにくい。そんなわけで当初「これは近年まれにみる失敗作では?」と感じたりもしたのだが、前述のとおりすぐに慣れ、慣れてしまうと元々すばらしいデザインがさらにすばらしく思えてきて、15分後には衝動買いするまでにいたってしまった。ポイントもつかないアポストで何をやってんだ、オレはw (量販店は品切れで入手できなかったという事情もあるけど)

多機能化について

誰しも考える2本指の上下スライドによるジェスチャについては、トラックパッドの2本指スクロールとのバッティングを避けるため、あえて外したのかもしれない。そう勘ぐってしまうくらい最初は「気がついたら2本指でスクロール」している。ただ、何度も言うがすぐに慣れる話でもあるので、多機能ドライバが登場するのも時間の問題かもしれない。「大抵のことなら後からなんとでもなる」というのは、iPhone でも言われたタッチ操作の最大のメリット(のはずだ!)。全くの余談だが Magic Mouse にハードウェア的な「殻」を被せて物理ボタンやタッチセンサを10個ぐらいつけて、究極の多ボタンマウスを作ることだっておそらく可能(笑)。Magic Mouse を使う意味がほとんどないけど、どこかネタとしてやってくれないだろうか?買わないけどw

デザインについて

デザインについては、個人的にちょっと興味深く感じている点もあるので、別の記事であらためて書いてみたいと思う。
薄くなったことによるホールド感については問題ない。手のひらに密着するような感覚を求める人だとスカスカになってしまうので分からないが、私は親指と薬指でかるくつまむ程度の持ち方をしてきたので大丈夫。もともとマウスの形状にそれほどこだわる方ではないというのもある。

まとめ

Appleは2ボタンマウスとスクロールホイールを出せ出せと言われて「1ボタンだけど2ボタンにもなる。そして360度スクロール」のMighty Mouse を出してくるようなひねくれた会社である。今回も、絶賛されているMacBookトラックパッドをそのまま切り出したようなポインティングデバイスを期待されていたと思うのだが、それとは微妙に(?)異なる提案をしてきた。トラックパッドは便利だが、デザインワークにはまったく使えないデバイスでもあるので、実のところこの点についてはほっとしている。

返金するから Mighty Mouse に戻りたいか?と言われたら No である。デメリットである Spaces と Expose は画面のコーナーに今は割り当てている。マウスで出来た方がよいがここは妥協点だ。今はそれよりも慣性スクロールと、戻る/進むが出来るようになったことが大きい(そして掃除の手間もなくなった)。使ってみると、トラックパッドより面積は狭いが、2本指、3本指での操作ももっと出来そうだし、トラックパッドのくせでついついマウス上でピンチして文字サイズを変えようとすることもある。

その他の部分には満足しているだけに、一刻も早く他機能ドライバが出てくれないかと待ちこがれている今日この頃である。