iPhoneの商品特性に触れること無く、iPhoneの成功を説明してみるテスト(その1)

ホリエモンのこの記事を読んで、iPhoneの成功の理由について、iPhoneという商品そのもの以外の角度から考えてみたくなった。
「その2」があるかは分からないが、とりあえず「その1」として以下の年表をば。

  • iPhoneが生まれるまで
    1. 1989年、UNIXをベースとしたNEXTSTEPがリリースされる
    2. 2001年、NEXTSTEPをベースとしたMacOS Xをリリース
    3. 2007年、MacOS XをベースとしたiPhone OSをリリース(初代iPhone
    4. 2008年、iPhone OS 2.0のリリース(iPhone 3G
    5. 2009年、iPhone OS 3.0のリリース(iPhone 3GS
  • 日本のケータイが生まれるまで
    1. 春、春モデルをリリース
    2. 夏、夏モデルをリリース
    3. 秋、秋冬モデルをリリース(1に戻る)

まあ、日本のケータイ云々はネタなのでおかしな比較になっていることは承知の上だが、短いサイクルで温泉旅館的な増改築がなされた結果、拡張性、汎用性、整合性などの面でいろいろと大変なことになっているんだろうなぁというは想像がつく。

iPhone OSやiPhoneアプリの場合、20年間脈々とブラッシュアップを続けてきた基盤の上に成り立っている。私はNEXTSTEPを知らないが、よほど素性のよいOSなのだろう。10年以上前、大学の研究室の先輩がNEXTSTEPを使っていて、しきりに「美しい」だの「洗練されている」だの「フヒヒ」だのとつぶやいていたのを思い出す。ちなみ当時はそんな先輩を見て、偏屈で気味が悪いくらいにしか感じなかった(笑)。実際にはとても先進的なつぶやきだったのだ。

よくiPhoneはいきなり携帯市場に参入してこれだけの成功を収めてスゴい的な話を聞くが、実際にはそんなウマい話があるわけない。iPhone登場以後、他ののケータイがこぞってタッチインターフェースを採用し始めたが真似するところはそこじゃないのだ(現にiPhone以外で「タッチ操作イイ!」との評価を得ている話は聞いたことがない)。

以下余談。

ホリエモンの記事でも触れられているが、初期のMac OS Xは本当にヒドかった。動作が重いし、あって当然の機能がない(DVD再生とか!)。普段使うソフトも対応していない。そんなこんなで私の完全移行は10.2からだったけど、10.0→10.1くらいの頃から「いずれはなんとかなるんじゃね?」みたいな空気がMacユーザにはあったと思う。そう思わせるだけのポテンシャルはきっと誰もが感じてたし、Apple的には熟成を待ってもらえる程度のシェアの低さだったことが幸いした。Appleとしてはあんまり自慢できることではないが、こんな経緯もあって、iPhone OS 3.0でいろいろ叩かれていたときもやはり「いずれはなんとかなるんじゃね?」という変な信頼感だけはあった。

あと個人的にAppleの底力を最も感じたのがSafariをリリースしたときだ。時はまさにIE全盛のころで、いったいだれがIE以外を使うんだと最初は悪い冗談かと思った。しかもクロスブラウザ対応が今の100倍大変だった時代で、そこにまたひとつブラウザが増えたというだけで「余計なことするなよ」と思ったものだ。Web標準に最も準拠したブラウザとなり、最速ブラウザ競争の先頭グループを走り、開発者から見て最も扱いやすいブラウザのひとつとなることなんて、予想もしなかった(Chromeにも同じものがついているが、SafariのWebインスペクタは素晴らしい)。さらにモバイルブラウザのカテゴリではWebKitデファクトスタンダードの地位を確立しつつある。

今にして思えばAppleにとって絶対に成功させなければならないプロジェクトだったことがよく分かる。SafariのないIPhoneなんて想像できないし、実際SafariがなければiPhoneもリリースされなかっただろう。