米国アマゾンがKindle向け電子書籍の印税を最大70%に引き上げ。一般書籍販売の7倍超の印税率。

これは凄い。熱い。アツすぎる。

米アマゾンが、kindle向けの電子書籍の印税が最大70%に引き上げるとのこと。

http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/01/amazonkindle357.html

普通の本なら7〜10%らしいので、これは常識はずれの印税率。

http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2009/12/235---amazon-ki.html
※この記事には印税以外にも出版社や流通の取り分なども掲載されていて興味深い。

ちなみに今までもkindle向け書籍の印税率は35%だったから、著者の立場から見ればそれでも破格なはずだが、それをこのタイミングで70%に引き上げるというのは、勘ぐらざるをえない。まあ、iSlateです。Kindleだけを考えるなら70%にする理由などないはずなのに。iPhoneにもKindleアプリというのはあるけど、iSlateではApple謹製の書籍マーケットが誕生するという噂があるんだそうな(上の記事参照)。そうすると結局iPhoneでもMacでもWinでもということになり、Kindleストアどころの騒ぎではなくなる。

fladdictさんのエントリーでも↓。どうやら30%の印税にするか、もろもろアマゾンの条件を受け入れて70%の印税にするか、選択できるということらしい。分析も面白いです。

Amazon印税率を70%に大幅引き上げ、焦土戦に突入。概要と雑感。
Amazon70%印税ルールの各条項を深読みする

なお、出版社がKindle向けに書籍を出版する場合も同様の印税率となるので、その場合は、30%なり70%なりの印税を出版社と著者とで分配することになる。

いやー、しかしこうなってくると、知名度があり、プロモーションチャネルを持つ著者ならば、出版社を介して売る理由がなくなってくる。もちろん、企画、編集、校正、書籍デザイン、イラストやチャートの作成、資料探しのサポートや著者の激励(笑)など、出版社の果たす役割は他にもあるが、この辺の役割なら出版社という「組織」である必要性はない。製本、配本、販売、プロモーション、権利関係の処理など、これまでは出版社(とその取引先)がなければ成り立たなかったアレコレが、電子書籍マーケットの誕生により一気に不要もしくは低コスト化され、しかもそれらはアマゾンが肩代わりする。

iTuneストアに代表される音楽の世界で起きたこと「以上」の変化になるんじゃないか。音楽の世界ではアーティストとレーベルの関係が書籍よりも強い(っていうのかな)。あるアーティストは契約レーベル以外から勝手に曲をリリースすることはできない。でも書籍の世界は、特に事情がなければ同じ著者がいろんな出版社から出版したりするのが可能なわけで、じゃぁ次の本は、アマゾンで。となるのは自然の摂理と思われる。

うーむ。日本でもどうなるか見物ですな。日本の場合、書籍流通にはいろいろ問題あったりするので、一筋縄ではいかないだろうけど、長期的にみれば大きく変革せざるを得ないでしょうね。

しかし、逆に考えるとアメリカの書籍流通業者は即死じゃないか?これ。
いや、Kindleのクライアント機が普及すればの話だけど。でも普及するでしょう。ハードウェアとしてのKindleは100万台程度らしいけど、iPhoneKindle端末だし、Androidもそうなのかな?今は違うとしてもKindleアプリのリリースは時間の問題だよね。だいいち、Kindleがこけるとしたら、それはAppleの書籍ストアが勝つということであり、既存の書籍流通が温存されるということではない。純粋に読者から見たコストパフォーマンスとして、電子書籍とリアル書籍とをくらべると、もういろいろと電子書籍の圧勝すぎて「どっちが勝つか?」という次元の話にすらならない。ディスプレイの質、解像度はかなり、そうとう重要だし、いつか書いたように将来的にはやっぱらペラペラヒラヒラしたいというはあるけれど(そういう意味では「即死」はいいすぎか)、電子書籍に移行していく流れだけは間違いなさそうだ。

もういろいろ見物すぎて、鼻血が出そうです。