先進国の過去30年のインフレ率と失業率の推移のグラフ

ちょっと調べ物があり、いつもなにかと利用している世界経済のネタ帳にて、「先進国の過去20年のインフレ率の推移」を調べてみた。結果は以下のとおり。

[世] インフレ率の推移(日本、アメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フランスの比較)

日本の微妙な曲線のせいで錯視を起こしそうなグラフになっているが、いちおう2000年=100とした場合のグラフ。
それにしても、日本だけが異質な推移を見せている。ただし今後は、日本は借金(国債発行残高)の多さを理由としてインフレになるとする意見が主流だ。

インフレに伴ない経済成長率も改善すればよいのだが、日本の場合、一部の輸出産業はともかくとして、そう大きくは改善しないだろう。インフレと円安と低成長(マイナス成長)と人口減少と社会福祉負担の増大がいっせいに押し寄せてくるイメージである。

ちなみに失業率の推移はこちら。日本とカナダの色がわかりにくいが、もちろん低いほうが日本。解雇しづらい雇用制度のおかげで先進国の中でも低水準だが、逆に言うと、失われた20年でも雇用を(比較的)維持しているのだから、様々な歪みが出てきて当然だ。普通に考えて、企業がもっと雇用調整しやすいような環境を整える必要があるだろうし、そのためには職歴に空白がある人や、新卒で就職できなかった人に対して、社会的にも制度的にも寛容になれる仕組みも必要だ。

[世] 失業率の推移(日本、アメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フランスの比較)

しかし中長期的には、出生率が改善して少子高齢化を食い止めないことには、どんな対策も焼け石に水だ。

2010年度予算では、一般歳出53兆円のうち、社会保障費が半分以上の27兆円を占めている。税収は37兆円だから、プライマリーバランスをプラスにすることなど全く考えられない財政状況といえる。税収は90年の60兆円が過去最高だが、社会保障費は27兆円から今後さらに増えていくことを考えると、バブル絶頂期の水準まで税収が伸びたとしても追いつかない。

つまり常識的に考えて近い将来の大増税は避けられない。

また、すぐには改善しようもない人口ピラミッドの応急手当として、移民の受け入れ議論もあるが、これについては私は正直どのくらい効果があるのか分からない。納税者(若年層)人口と個人消費に関しては改善が期待できるが、ただでさえ少ない働き口を食い合うことにもなるので痛し痒しだな、くらいの感想しか持っていないが、もっとよく調べてみると違う意見も持てそうなので、これは今後の課題だ。

まるで救いのないように見える国内の状況だが、個人としては、海外投資を行うことでこの状況を楽しむことができる。また最高の生活防衛手段とも言える。特に円高でデフレの今は、海外の経済成長の恩恵を受けるには最高の環境だし、自分の投資したお金が世界の経済成長に一役買っているのだと思えば、それもまた楽しいことだ。悩ましいのは、分散投資の一環として一般的には奨励されている国内株式や国内債券クラスに投資するかだが、以上のような状況を考えると全く食指が動かない。ひとまずは国内は伸びないという仮説に基づいてやっていこうと思う。