「社内の厳しい競争環境に身を置かなくても良い社員」とは? CAのC職創設について。

サイバーエージェントの社内組織改革について。

http://ameblo.jp/shibuya/entry-10954637766.html

上のCA社長ブログによると、管理職、専門職だけでなく、貢献度に応じた評価がなされるC職(貢献 Contribute 職?)を設置するという話。ピラミッド型かつ一本道の出世コース、そこから外れたら基本的にはキャリアアップはおしまい、という旧来型の組織を変えていこうとする試み。

C職は「社内の厳しい競争環境に身を置かなくても良い社員」。一般(Common)職と言ってしまうと身も蓋もないが、サイバーエージェントとしては意地でもそういうことではないと主張したいところだろう。求める人材像としては「出世の階段を駆け上っていくだけでなく、落ち着いて長く働いてくれる人」でそのような社員も「大切にするというメッセージ」としてC職創設を決定した。

組織構造がピラミッド型ということは、要するにトーナメント戦と同じで、日々の業務は「敗者を決める戦い」にならざるを得ない。いくらキレイごとを言ったところで、同じ会社にとどまる限りは、入社から退職までのどこかで出世は頭打ちとなる。

社員全員にこの出世レースを強いて、現場でバリバリやりたい専門職向きの人をも、不向きな管理職に「出世」させた結果、大量の「無能な管理職」を生み出してきたのが古いタイプの組織だ(この辺りは『イノベーションのジレンマ 日本「半導体」敗戦』(光文社ペーパーバックス)が面白い)。CAはこれまでも管理職(G職)、専門職(P職)に分かれていたというから、その弊害に意識的に取り組んでいる企業なのだろう。

C職創設は、ちょっと意地悪な見方をすると、有能な社員に潤沢なポストを用意できなくなることを見越した策ともとれる。旧来の組織はそのような場合、形式上の役職や子会社、天下り先を用意してポストをあてがい、組織の非効率化(簡単に言うと人件費の無駄な増加)とひきかえに、組織秩序や社員のモチベーションを維持してきた。

これから海外に出て行こうとするCAとしては、このようなトレードオフは望んでいないだろうから、本音の本音で言えば、トーナメント戦に敗れた社員は解雇したいのかもしれない。もちろん日本ではそう簡単には解雇できない。「C職も大切な社員」というメッセージだが、実際問題として、C職の報酬及び役職は低め安定路線で設定されるのではないだろうか?そして低い報酬を受け入れてもらう代償として、安定的な地位を約束する。

ここまでだと「なんだCAさんもついに終身雇用か」で終わってしまうし、CA側のリスクが少々大きいので「貢献 Contribute 度」という尺度を新たに持ち出す。これで安易にC職に安住することを許さない仕組みとするのが本制度の要諦であろうと推測する。はたして貢献度という可視化しづらい尺度がきちんと機能するかどうか(あれ?「安定的な地位」と「安住できない仕組み」が矛盾してる・・・ここはCAの種明かしを待ちたい)。

この問題はCAに限らず、組織の普遍的な問題といえる。解雇規制如何で難易度が大きく左右されそうだが、欧米の老舗企業やアメリカのベンチャーなど海外企業はどのように取り組んでいるのだろうか?

最近ツイッターでだらだら書いてばかりで文章作成力が落ちていたので、ブログできちんと書いてみた。


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日本「半導体」敗戦 (光文社ペーパーバックス)

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