Apple Watchの感想文。

Apple Watchが発売された。
現時点では否定的な感想が多いように感じるが、ウェアラブルバイス市場というのは伸びるしかない市場だと思っているので、買う買わない、好き嫌いに関わらず、自分の考えをまとめておきたい。

デザインについて

Appleらしからぬバリエーションの多さが意外だと受け止められているが、時計なのでバリエーションがないと受け入れられない、そう判断した上での多商品展開だろう。どんなにデザインが気に入っても、知人5人で集まった時、4人が同じApple Watchをしていたら私なら萎えるし、もうつけたくなくなる。全身ユニクロの私でもそう思う。かぶっても気にならないスマホとの大きな違いだ。これはロレックスでも、スウォッチでも、G-Shockでも同じではないだろうか?

ただこうやって色々なデザインのApple Watchを眺めてみて感じるのは「やっぱり同じだよね」ということ。当り前だが全部「Appleのデザイン」だ。個々に見るとたしかに格好いいと思う。この中で気に入ったものを買ってつけてみてもいい。たがやはり、10人集まって7人が色とりどりのApple Watchをしていたら残念な気持ちになるんじゃないか。

他社にライセンスしちゃえばいい

んで思ったのは、Appleは今こそApple Watchを他社にライセンスすればいいんじゃないのということ。他社にライセンスするとデザイン面でも機能面でも、ユーザ体験が損なわれるというのがこれまでのAppleの言い分だったが、Apple Watchに関しては、もともとそこまであれこれ出来る端末ではないし他社製だから極端に使いにくくなることもなかろう。それよりもかぶって萎えるという最低なユーザ体験を避けるようにしたほうが得策ではないか。

Appleブランドとしてのユーザ体験は間違いなく損なわれる。が、そこを顧みず断行しないとApple Watchというソフトもハードも共倒れになりそうだ。なにより、他社から値段もデザインもさまざまなApple Watchが出てきたら楽しそうである。昔のMac互換機はMacそのもののシェアが低すぎて大失敗したが、今のiPhoneユーザは2億人だっけ?、とにかくたくさんいるので大丈夫。なんとかなる(適当)。

その場合の売上面の影響はどうか。Appleは売上から見れば今も昔も純然たる製造業である。利幅の大きなハードを作って売ってなんぼの会社だから、Apple WatchのOS部分をライセンスすると、ハードウェアとしてのApple Watchの売上は落ちる。しかしそれでもいいんじゃないのと思う。Apple Watchの利用にはiPhoneが必須なので、Apple Watchが売れればiPhoneも売れる。Androidユーザにも訴求できる他社Apple Watchがたくさん出てくれば、それだけiPhoneも売れるわけだ。

時計がファッションアイテム、ステータスシンボルとしての意味しかほぼ持たなくなっている現状でApple Watchが売れるには、たかだか十数種類のバリエーションでは全然足りないというのは、私には自明のことのように思える。ビジネスマンが「今後ここにある20種類以外のネクタイの使用を禁じる。いやならネクタイするな」といわれたらどうするか?みんなネクタイしなくなると思うんだよね。

健康管理デバイスとして

そもそもApple Watchをはじめとするウェアラブルバイスって何に使うのかという話。
電話、ネット、ウォークマン、カメラ、ビデオ、手帳、ゲームと、既存のさまざまな機能を吸収してきたスマホだが、最近のトレンドはヘルス&フィットネス機能である。これは一時の流行ではなく、テクノロジーがもたらす大きな変革のひとつになるのは間違いない。

今回の発表を受けてよく聞かれたのが「必要ない」「スマホで十分」といった意見だが、私は、そうやって切り捨ててしまうのは少しもったいないと感じている。常に肌に触れているデバイススマホとは比較にならないほど多くのバイタルサインを収集できる。今回のApple Watchがどれほど健康管理に使えるのか使えないのか、買って自分の体で確かめてみたい。

おまけ

近未来の医療風景としてよく描写される「ウェアラブルバイスが健康状態を常に監視。問題があればかかりつけの医者にデータを送信し、遠隔で診察」みたいなのは、まだ時間がかかるのは言うまでもないが、その端緒として語り継がれる可能性がApple Watchにはある。需要があり環境が整っているところには猛烈な投資マネーが注がれるのが世の常である。門外漢なので知らないが、医療メーカー、センサーメーカーはウェアラブルバイスに載せる製品開発に眼の色を変えているであろう。Appleも当然のこと、ヘルスケア&フィットネスは最重要分野と位置づけているものと考えられる。

不摂生極まりない生活を送っている私がいうのもなんだが、これからの時代は、健康に気をつけてシステマチックにケアできる人は100歳まで生きて当然の時代になるのではないか?私の世代か遅くとも孫の世代には、そういう時代が訪れると思われる。私は100歳まで生きたいのだ。100歳まで生きて、預貯金が底をつき、年金は減額され、マンション管理組合は建て替え派と取り壊し派でまっぷたつに割れ、引っ越す当てはなく、子どもには同居にイヤな顔をされ、孫にはおじいちゃんお口臭いと言われるのだ。

というわけで、Apple Watch、買ってみまーす。
感想文は以上です。
ポイントは「とっとこライセンスしチャイナYO!」と「まずやせろ健康管理しチャオ!」でした。