RetinaモデルのMacBook Proを触ってきました

銀座のアップルストアにて、Retinaモデルをおさわりしてきた。2.3GHzのモデル。

1. 起動時間

まずはRetinaじゃないのか!!という気もしないではないが、ひとり焦らしプレイとしてまずは起動時間を測った。手動計測。非Retinaの新MacBook Pro(2.3GHz)の37秒に対し、Retinaは13秒。速い!フラッシュストレージの恩恵がそのまま出た感じ。実は新Airもそのくらいだったので、Retinaには10秒を期待していたが、起動時間についてはAirとほぼ同じだった。いろいろおかずをつけても20秒くらいで収まってくれれば嬉しいが、これは買ってみないとなんとも。スリープと復帰は一瞬で、計測する必要性を感じないレベル。これもAir同様。

2. 重さ

次に重さ。13inchとほぼ同じ2kgのRetinaモデルを持ってみた。15inchとしては驚きの軽さ。私のバッグに幅に収まることも確認。13inch持ち歩いてる人なら、同じ感覚で15inchを持ち歩ける。同じ重さだから当たり前だが嬉しい。むかーし2.5kgのPowerBook15inchを持ち歩いてたが、0.5kgでもだいぶ違う。あと、見た目のデカさと持った感触の軽さの「ズレ」が奇妙だ。満タンに入ってると思った牛乳パックを持ち上げたら実は空っぽで意表をつかれた経験を持つ人は世界人口の86%に達するそうだが、アレに近い感覚。

3. Retinaモード

さてRetina。文句なく素晴らしい。iPhoneiPadRetinaで感動できた人は同様に感動できる。iPhoneの326ppiや、iPadの264ppiよりも劣る220ppiなので正直どうかと思っていたが、問題ない。ほんの数分しか見てないにもかかわらず、Retinaモデルの後に見た従来機が、だいぶ貧相に見えるほど。ちなみにMBA 13inchは127ppi、非Retina MBP 15inchは110ppiである。

4. 1920*1200px表示

私を含め巷の「作業スペースマニア」が気になるのがこちら。驚くべきことに「問題なし」だった。イラレを立ち上げて線幅1pxの矩形を描いてみた。アンチエイリアスのかかっていないシャープな矩形が描けた。素晴らしい。いくつか描いてみてもやはり滲みは無い。理論上は、2880*1800pxのディスプレイ解像度を、無理矢理1920*1200pxの作業スペース解像度に変換するわけだから、1pxは1.5pxに拡大されているはず。整数倍ではない拡大ならばアンチエイリアシングが必須のはず。なのになぜ滲まないのか。実際は滲んでいてもドットピッチが精細なため、滲んでいないように見えるのか?しかしシステム環境設定のユニバーサルアクセスで「ズーム機能:入(スムージングOFF)」にして拡大してみても滲みはない(ズーム機能では拡大しつつ作業スペース解像度を「Dot By Dotの整数倍」に変換している可能性はある)。他のUIパーツも問題ないように見えた。とにかく10分ほどいじくりまわした範囲では、1920*1200px表示は十分に実用に耐える印象。UI要素はもちろん小さくなるので、長時間使用したときにどうか。
ともかく、今自宅で使用しているLEDシネマ24インチと同じ作業スペースを持ち運べるのだから、これでめでたくカフェ()でノマド()なクリエイター()になれる。
ただ、「ボケた」という報告もあるので(http://www.macotakara.jp/blog/index.php?ID=16845)、もっと時間をかけて再度確認したい。

5. 2880*1800px表示

まあ分かっていたことだがこれは出来なかった。一般にアップル製品は「Option押しながら何かしてみると良いことがある」ので、ディスプレイ環境設定でやってみたが、良いことは特に起きなかった。ということで正真正銘のDot By Dot表示は確認できず。残念。ただいずれその手のカスタマイズ技は出回ると思われる。

なおRetinaディスプレイのドライバがいい意味で(?)提供されていないブートキャンプ環境下では2880*1800pxの作業スペース解像度を実現できるようだ。ただ、試してみた人によると、やはりUI要素が小さすぎて実用的ではない様子(http://www.asobuoiphone.com/archives/4045153.html)。うん、知ってた。

2012/6/26 追記:MacOS X環境下でも2880*1800px表示ができるサードパーティソフトが早速リリースされている模様。

6. 小ネタいろいろ

a. WebサイトのRetina対応について

アップルのサイトはRetina対応済みの模様。たとえばこのページ(http://www.apple.com/jp/retail/ginza/)のアポスト写真だが、従来機で見ると564*376pxなのに対し、Retinaモデルで見ると倍の長さ「1128*752px」だった。これを半分の564*376pxにぎゅぎゅっと濃縮して表示している。RetinaモデルのSafariはユーザエージェントが異なるのか、ディスプレイ解像度をJavascriptで取得しているのか。なんらかの方法で端末情報を取得して、サーバ側にて画像を出し分けているようだ。

b. MacBookロゴがない

20年以上前のMacintosh ポータブルのころから含めて考えても、これは初の珍事ではなかろうか?ロゴ、欲しい。

c. 電源ボタンがMacBook Air風に

薄さ対策のためだと思われる。アルミボタン欲しかった。。。

d. スリープやバッテリー残量のインジケータがないよ〜

欲しい。。。

最後小さな不満は書きましたが、全般的に文句なしで「買い」。私も実は今日の確認より前に、発表即ポチした。

以下はおまけ。時間のある人はどうぞ。

おまけ1. OSとアプリのRetinaモード対応について

OSとアプリの対応については、アポー謹製アプリは見た限りでは完了しているようだ(2012/6/26 訂正:iWorkアプリのほかいくつかは未対応でした)。その他のアプリは順次となるが、iOSの前例があるので遅滞なく粛々と進むと思われる(ただしAdobe以外)。もちろん非対応でも、従来機と同じ従来の解像度で見えるだけなので、深刻な問題とはならない。Retina対応アプリから切り替えたときに、若干微妙な気分を味わうだけである (´・ω・`)ショボーン とはいっても、アプリ独自のビットマップ画像が少なく、OS提供のUIパーツを多用しているアプリなら、何もしなくてもある程度Retinaモードの恩恵は受けられるだろう。特に文字などはほとんどRetinaモードでの表示となるはずだ。
なお、文字やベクターデータであっても、たとえばイラレの図形や文字のレンダリングはOSで提供されているものではなく独自のレンダリングエンジンを使用しているので、アプリ側の対応待ちとなる。

2012/6/26 追記:2chソースでアレだが、Excelなど未対応アプリでの表示が「従来機と同じ従来の解像度で見えるだけ」ではなく、従来機よりも低クオリティ(ボケてるとかギザギザといった表現)だとする意見もあり。

おまけ2. 妄想版イラレ

Final Cut Pro Xでは、UIパーツはRetinaモード(従来の1pxを4px使って表示)、HDのプレビュー領域ではDot By Dotという荒技を見せている。Appleのサイトによると「ポータブルコンピュータで初めて、一つひとつのピクセルが正確に再現された1080p HDビデオを見ながら、それを編集するためのワークスペースも同時に画面に表示できる」とのことだ。
イラレやフォトショもぜひともこれにならって欲しい(期待薄)。ドキュメントウィンドウ内のみDbDで正確かつ広大なワークスペースを確保し、その他パレットやメニューバー等はRetinaモードで見やすい表示(期待薄)。これならば1920*1200表示にせず、常にRetinaモードで作業完結できる!(期待薄)。現状で外部ディスプレイに頼らず作業しようとすると、広いワークスペースを求めて1920*1200表示にするか、適度な大きさのUI求めてRetinaモードにするかの選択となる。

おまけ3. 「Retina」や「解像度」という言葉について

ディスプレイ解像度に選択の余地がないiPhoneiPadでは問題にならなかったが、RetinaモデルのMacBook Proでは「Retinaディスプレイ」と「Retina」は意識的に分けてつかう必要が出てきそうだ。アップルのサイトやシステム環境設定でも、この二つの用語は明確に分けているように思う。

  • Retina:従来の1pxを縦横各半分に小さく分けて2px*2px=4pxをつかって表示するモードのこと。言うときは「Retina」だと紛らわしいので、「Retinaモード」「Retina表示」などと言えばいいと思う。
  • RetinaディスプレイRetinaモードでの表示が可能なディスプレイのこと。

前者はソフトウェア用語で、後者はハードウェア用語と考えればよい。
また従来機は、1pxのデータは、ディスプレイの1pxを使って表示する(Dot By Dot=DbD)のが常識だったが、Retinaモデルではハードウェア的な「ディスプレイ解像度」と、ソフトウェア的な「作業スペース解像度」は分けて考える必要がある。「作業スペース解像度の長さ2倍(面積4倍)=ディスプレイ解像度」という状態が「Retinaモード」ということになる。Retinaモードじゃない作業スペース解像度(1920*1200表示など)もシステム環境設定から選択可能で、上でも書いたように、実は私的にはこちらの方に興味があった。