エレベータの新しい「開閉ボタン」デザインを考えてみた

はてブにて、エレベータの「閉」は不用に関する意見交換が喧しい。中にはエントリ主のkishin氏がMacユーザだからという理由で叩くようなブコメも見られるので、本ブログとしてはちょっと記事投下を躊躇する気持ちもあるのだが、エレベーターボタン評論家としては見過ごせない問題でもあるので、エイヤーで投下する。半分ネタなので、ナナメ読み推奨。

私はkishin氏が副次的に(下の方に)あげたのと同じ理由で、ボタンはひとつでいいんじゃないかと思ったことがある。すなわち、「開」と「閉」が視覚的に判別しづらいという点。アイコンになってるのもあるが、それもまた輪をかけて分かりにくかったりするので困る(後述)。

しかし「閉」ボタンを削るのはやはり万人、というよりすべてのケースには適用できないだろうと思われるので、やはりここはボタンを両方残す方向で考えたい。デンマークの美術館と新宿駅構内とでは求められるものが違うと思うのだ。

さて、問題を考えるにあたって、まずは今の2つの開閉ボタンがなぜ分かりにくいのかを整理したい。

下図のとおり、アイコンボタンの方は、開ける、閉める、ともに反対の意味にもとれてしまい、直感的でないのである。そしていったん脳内でそのことが頭をよぎると、ゲシュタルト崩壊を引き起こし、なにがなんだか分からなくなってしまう。

fig. 1


漢字にいたっては、反対の意味を表すとはとても思えないほど似通った2文字である。どう見てもこれでは「開く」と「半開き」くらいの違いしか読み取れない。こんなのはダメである。プンスカ!


そこで考案したのが下図の、まったく新しいボタン改善案である。どれも、現状の「直感的に分かりにくい」「似すぎている」という問題をクリアしたものばかりである。

fig. 2

実はここでもっとも大事なポイントがある。

基本的に日本人は「機能」大好き民族である。AV機器や家電などでもひしめきあうように多様な機能のボタンを並べる。実はエレベーターのボタンも「開ける機能」と「閉まる機能」を(意識的あるいは無意識的に)誇示すべく、そこから発想したアイコンデザインとなっている。上の現状のアイコンを見ていただくと分かるが、これは、「開く動き」と「閉まる動き」を表現している。「押すとこっちの方向にウィーンと動くんですよ〜、みなさん」と言っているのである。

まあ機能指向というのは良し悪しで語れない部分が多々あるので、それ自体をここでどうこういうつもりはないが、ことエレベーターのボタンに関しては、この発想の枠内で考える限り、問題は解決不能かもしれない。
別にエレベーターのドアがウィーンと動こうがピシャッと動こうがどうでもいいし、右でも左でも上でも好きに動いてもらって構わないのだから、そういうどうでもいいことを表現しようとしているのは「ムダ」ということになる。

さて、機能指向に強烈なダメだしをおそるおそる食らわしたところで、諸先輩方のテンプレートにしたがい、ここでユーザ指向、生活指向、目的指向のアイコンを提案せねばなるまい。というわけで考えてみたのが以下の案である。

fig. 3


人の部分はどなたか得意な方にお任せするとして。
「動き(=機能)」を表現することに重要な意味はないと仮定し、押すとその結果どうなるかという「状態」を表現することにフォーカスした。
そしてやはり人は必要なのである。これがないと単なる「四角」となり、「開いている状態」の表現としては不十分となる。人数は複数の方がエレベーターらしいだろう。複数となると3人以上は必要だ。
こんな感じであとはもう少し人の大きさと形状のバランスをとって完成となる。
矢印は不要。文言も不要である。


最後に。
上で格好よくかましている日本人論についてですが、外国のエレベーターと比べた訳ではないので、この段落はふいんきでお読みください。すみません。でも外国(アメリカとメキシコ)のエレベーターでもやはり同様に分かりにくかった記憶があるので、実はどこも大差ないのかもしれません。