iOS7フラットデザインに関するファーストインプレッション

スーパーフラットになったiOS7(携帯料金の話ではありません)。アップルのサイトの静止画&動画を見たファーストインプレッションです。アップルがどんな風にフラットデザインしてくるか楽しみだったのですが・・・

Appleフラットデザインしたらこんな感じになりました

どうでしょう?

某OSのようにデザイン的に破綻はしてないと思います。どころかぱっと見COOOOLな感じで格好いいです。ただやはり・・・ボタンは分かりづらそう!おばあちゃんとかに「右上のボタン押して」「え?ボタン?どこ?」「・・・」こんな会話が頻発しそうです。
この画面の「Select」「Share」「Collections」がボタンだと分かるのは、スマホリテラシを持っている人だけではないでしょうか。あるいはUIデザイナーもボタンのメタファを使わず万人にこれがボタンだと理解させるのは難しいでしょう。どうも今の流れのフラットデザインは、使う方にも作る方にも難易度が高いように思います。
ホーム画面のアイコンがフラットだとかそういうのは別にいいのですが、ボタンやスイッチなどUI要素はやはり確立された視覚的なフックが必要な気がします。

ちょっと心配

ハードウェア(グラフィック性能)の制約を少なからず受けていたOS9までのUIデザインは別として、コテコテ路線のアクアデザイン、シンプル方向へ振り切った感じのフラットデザインを両極とするならば、その中間ともいえる従来のiOSや今のMacOS XのUIが一番「ちょうどいい」ところを突いているように思います。主張しすぎずにしっかりそれと認識できます。

GoogleAmazonKindle)、MicrosoftAppleとだいたいこんな順番でフラットデザインが一周した気がしますので、これから二周目です。個々の出来不出来にもそれぞれ言いたいことはありますが(特にMicrosoft!)、各社ともブラッシュアップしてくるのは間違いないと思います。今後どうなるんでしょうか。

少なくとも私自身がWebサイトやアプリ等のデザインをするときには、フラットデザインは全面的には取り入れにくいです(低彩度の色遣いとか前述のアイコンのテイスト等は別として)。ユーザ視点で考えると特にITリテラシの低いターゲットの場合は使いづらさにつながるということ。作り手視点ではフラットデザインを「格好良く」「使いやすく」見せるのは相応のパワー(時間と経験値)が求められること。後者は作り手個人の努力で乗り越えることができますが、前者については実際に色々な人が使っているところを観察してから、あらためて評価してみたいと思います。

もっと心配

あと、フラットデザインはテキストと四角ベタ面が中心なので非デザイナーが簡易にそれっぽいUIを構築するために都合がいいのだ的な話を耳にすることがありますが、とんでもない話です。フラットデザインで「わかりやすい」「使いやすい」UIを構築するのは、見た目から受ける印象以上に難しいです。しかもグラデだシャドウだ鏡面反射だとごまかしが効かないため、デザインの基礎がないと間違いなく格好わるくなります。。。非デザイナーが迂闊に触って大怪我した例を我々はWindows8で見ています。

そんなわけで、今のままのフラットデザインならば、MacOS Xに適用するのはやめて欲しいです。
iOSならば要素の少なさということもありますし、今までのiOSの操作リテラシが前提としてあれば、そこそこ快適に使えるのではないかと思います。

雑多な感想1:タブバー

上部の各ボタンもさることながら、下部のタブバーとそれ以外の部分の違いがわかりにくい。

雑多な感想2:メッセージとキーボード

キーボードもフラットデザインに。シフト、スペース、Returnなど特殊キーはわずかにグラデがかかっている。他の画面と同様、やはりヘッダ領域、メッセージ表示領域、入力フィールド領域、キーボード領域のメリハリが乏しく、このフラットデザインをすべてのUIに適用するのはやはり無理があるのでは・・・?!と疑念を抱いてしまいました。

雑多な感想3:メール

メールも同様。ヘッダとフッタがわかりにくい。新規作成ボタンの見つけづらさにもつながるのでは?

雑多な感想4:Safari

アイコンがイマイチな例。はじめてブックマークアイコンを見た人はこれが本のメタファだとわからないと思う。またシェアアイコンはせっかく従来の右上に弧を描いて飛び出したようなアイコンが定着してきたと思ったらこのタイミングで変えてきた。この変化について来られないユーザも多いのでは。変わること自体をとやかく言うつもりは全くないが、変わった先に何もなさそう(に見える)変化は支持できない。

雑多な感想5:パネル

比較的フラットデザインがハマっている例。しかしパネルを引っ張るグリップ部分はiOS6までデザインの方がやはり直感的。全般的にすっきりと格好良いが、こういうのを見て「よし!他のアプリもこれで行こう!」となってしまうのが間違いの元なのではと思ってしまう。

その他実際の動きと合わせていろいろなアプリの使い勝手を確認できる。
http://www.apple.com/ios/ios7/