AppleTV レビュー。1ヶ月使ってみました。もれなくGoogleとのシェア争いが付いてくる。ヤァヤァヤァ!!

8800円の衝撃プライスになった新しいAppleTVを買ってから1ヶ月立ったので、レビューなんぞを書いてみる。

AppleTVって何ができるの?

まずAppleTVがあると何ができるの?という点についておさらいすると、

  1. 映画が見られます。
  2. Youtube等のネット上のコンテンツが見られます。
  3. Mac/PC/iPhone/iPadに入っているビデオや写真が見られます。

・・・ということなのでこの3点について、AppleTV購入前と購入後を比べて、良くなったことや大して良くなっていないことなどを書いてみたい。

1. 映画のレンタル/購入について

これは良い。便利。TSUTAYAに行かなくていいのだから便利なのは当たり前・・・というのは頭では分かっていても、実際に体験してみると、想像していた以上に便利で手軽なことに驚く。すぐに購入/レンタル出来るのが便利なのはもちろん、プレビューが見られる、ユーザレビューが見られるという点もポイント高し。TSUTAYAの店頭でiPhone片手にアマゾンレビューとにらめっこしながら検討するかわりに(そんなことしない?!)、家族でテレビの前に集まってプレビューやレビューを確認しながら何を見るかわいわい相談するのもなかなか乙なものです。

悪い点。高い。新作レンタルで400円〜500円。旧作なら300円〜400円(だったかな?)。これを許容範囲とするかどうかはどのくらい映画レンタルするかにもよるだろう。

次にまあまあの点。購入金額について。ToyStory3を購入したところ2000円だった。DVDはamazonで2464円、DVD+Bluerayが2709円だから、特典映像が要らないという人ならばお買い得。私はPixarのメーキングビデオを見るのが3度のメシの次に好きなので少し残念といったところ。見逃せない点として、iTunesで購入した映画は、AppleTV、Mac/PC、iPhoneiPadの全デバイスで見られる。通勤電車でPixarの映画を見るのが3度のメシの次の次くらいに好きな私にとっては、これはすごく嬉しい。iPhoneじゃ小さすぎるかと思ったが意外と普通に見られる。iPadなら言うに及ばず。

作品点数については評価保留。現状では少ない。が、つい先日ソニー・ピクチャーズがコンテンツ提供をはじめたことなど、時間が解決してくれる可能性も高い。This Is It をいきなり提供することからもソニーの本腰が伝わってきて、今後が大いに期待できる。

注意点そして大いに不満な点。「AppleTV(iPhone/iPad)で買うとAppleTV(iPhone/iPad)でしか見られない」。Mac/PCのiTunesStoreで買ったりレンタルすれば、Mac/PCはもちろん、AppleTVでも見られるし、同期しているすべてのiPhoneiPadで見られる。どの端末でも見られるようにしたい場合には、Mac/PCのiTunesをひらいて購入またはレンタルする必要がある。これはおそらくトラフィックの問題と思われる。映画1本約1.5GBのファイルを、各端末でご丁寧に全部DLされてしまったらトラフィックが大変なことになる。かといってAppleTV(iPhone/iPad)にDLした映画をMac/PCに逆転送することはAppleDRMポリシー上できない、といった事情だろうか?(DRMコンテンツは常に母艦→端末の一方向コピーのみ可能。レンタルの場合は逆方向も可能だがこの場合コピーではなく「移動」になるようだ)。分かっちゃいるが不便である。なので購入したい映画は母艦で購入、が鉄則だ。レンタルならばその場限りで構わないかもしれないが、もし一度に見きれなかった部分を通勤電車でiPhone/iPadで見たいなら、やはり母艦でレンタルする必要がある。

参考までに購入した映画のライセンスをAppleのサイトより転載しておく。「ムービーは最高 5 台のコンピュータに転送でき、またお持ちのすべての iPod と同期できます。データのアーカイブ用に DVD に書き込むこともできますが、再生用の DVD は作成できません。また、最高 5 台の Apple TV と同期させられ、これは 5 台のコンピュータの中には 含まれません。」ということだ。

2. YouTube等のネット上のコンテンツの視聴について

ほかにもMobileMeFlickrにあげた写真や動画を見られるわけだが、映画と比べると使用頻度が落ちるかなという印象。HD画質ならリビングの大画面テレビでかなりの迫力のYouTube動画を楽しめる、が、検索性はパソコンに劣るのでストレスがたまる。関連動画は簡単に見られるので同じテーマで貪るように視聴するには向いてる。私の場合、マイケルの動画などを眺めて時間を浪費するのが趣味なので、最初の頃は面白がってけっこうお世話になった。ソファーに寝転がって見られるので、これからもたびたび利用するだろう。

が、繰り返すがパソコンで見るのと比べるとどうしても使いにくさが目立つので、今後はどの様に操作性を高めていくかが、利用されるか否かの分かれ目になりそうである。

あと、MobileMeFlickrに写真や動画をたくさんあげている人にとっては、誰かが家にきた時に大画面で自慢する、という用途(?)にも向いている。

3. Mac/PC、iPhoneiPadのコンテンツの再生について

コンテンツというのは音楽、写真、動画のこと。うむ、これはかなり使える。一口に再生といっても二つのパターンがある。ひとつはパソコンでiTunesを立ち上げておくとそれをWi-Fiで検出してiTunes内のコンテンツを再生するというパターン。もうひとつは、手元にあるiPhoneiPad、パソコンで再生しているコンテンツをAirPlayでApple TVに飛ばすというパターン。

便利なのは圧倒的に後者で、今手元のiPhoneなどで見ているものを、その場ですぐに大画面にうつせるというのは、これまた想像以上の感動がある。iPhoneの写真アプリ、iPodアプリで見ているもの、聞いているものが、ボタンひとつでそのままテレビから出力される。ひとつめのパターンだとあらかじめパソコンとiTunesが立ち上がっていないとダメだし、そういう事前準備は結局面倒でやらないのが人の常だ(多分)。両者はApple TVで見ようと決めるのが先かあとかの違いしかない。でもその違いがこんなに大きなものなのかと、これはなかなか示唆に富む意外な発見であった。

写真や自分で撮ったビデオもそうだが、購入した映画のような重いコンテンツではどうかと思ったが意外と実用的。バッファリングに2、3分といったところだろうか?

まとめ

そんなこんなでなにが良いかって、安いのがいい。これが3万とか5万とかの代物であれば、うわーーーヤバいフル活用しなきゃなどと焦ってつまづいて壊したりするなどロクなことにならない。まだ保証期間内だからとAppleストアに持って行くとお客さんこれ踏んづけてますよねと言われるので、いえそんなことないですよととぼけないといけない。高い修理代で嫁には怒られ上司には怒鳴られ子供にはウザいと言われるため大変な精神的苦痛をともなう。

8800円であればその様な心配は不要だ。

冗談抜きでいうと、いま、グーグルTVやらアクトビラやら、テレビにそれまで以上のソフト的付加価値をつけて売りましょう的な流れがあるが、なんでそういう数千円レベルのソフト的付加価値を10万円からン十万円のテレビにくっつけて売るのかということを考える必要がある。ソフト的と書いたがiOSにしてもAndroidにしてもそれなりのCPUとメモリを必要とする。3年後には3年後の、5年後には5年後のハードウェアを前提とした機能やサービス強化が図られているだろう。

そうなったときに、またン十万のソニーGoogleTVを買うかというとまずありえない。いまエコポイントで大画面テレビを買っている人の大半が、これで向こう10年はテレビを買う必要がなくなったと思っているはずだ。

ようするにテレビはテレビで映像出力に徹すべし、サービスの部分はより安価で小回りの効くApple TVのようなセットトップボックスで面倒をみるべしということなのだが、実は家電メーカーもそんなことは百も承知、のはず。なのになぜそうしないかというと、STBは儲からない、テレビは儲かる、それだけのことである。実に痛ましい。そんな商売がゴーイングコンサーンするわけがない。

アクトビラは?GoogleTVは?

そんな訳で、このままiTunesストアに映画コンテンツが充実していくと、アクトビラもGoogleTVも、順調に死ぬ。ただGoogleに限ってはそのまま大人しくしているはずがないから、どこかで家電メーカーにくっついて売る方法からは離れて、STBメーカーと組んで売るようになる。STBメーカーというのは台湾、中国、ASEAN諸国などの複数のメーカーだ。と思ってググったら、10月にlogitechからGoogleSTBが出ていた。要するにその流れが今後加速する。Android携帯と同じことをするだけだから別に難しいことじゃない。一見非合理的な家電メーカーとくっつく戦略を採っているのは、ひとえにソニーのネームバリューでもってGoogleTVの認知度を高めたいがためである。

まとめといいつつすっかり長くなってしまったが、Apple TVの最大の特徴は「安い」ことだ。映画や他のデジタルコンテンツを楽しめるのはいわば当たり前の話だし、iPhoneiPadで見せたようなユーザーインタフェース上のブレークスルーもない。3年ごとに1万円弱の費用を払って最新のApple TVを買いさえすれば、テレビは10年どころか20年買い替える必要がなくなるかもしれない。Appleが今すべきことは、Googleが上記の戦略に沿って追いついてこないうちに、なるべく大差をつけて独走体制を築くことである。その中にはSTBでも使いやすいUIの開発ということも含まれる。AT&TSoftbankの電波問題といった第3の要素がない分、より純度の高い Apple VS Google を堪能できること請け合いだ。

ホントのまとめ

最後に、ユーザーの立場からみて今のApple TVを買うかどうかもついでなのでまとめて見る。

  1. 映画好きの人:間違いなく買い
  2. みんなで楽しみたい写真やビデオがある人:買ってiPhoneiPadに放り込んでAirPlayで楽しむべし
  3. すでに iPhoneiPadに写真やビデオがたくさん入っている人:もちろん買い
  4. 特に映画ずきでもないし写真もビデオも一人で楽しめれば十分という人:買わなくてオケー
  5. でも今後数年のメディアの流れの一端を感じて後年自慢したい人:安いので買っときましょう。自分への投資です。
  6. 以上に当てはまらず音楽好きな人:Apple TVではなく、ドック付きスピーカーを買った方が良いでしょう

例によって後半激しく脱線しました。来年はこの様なことがないよう気をつけたい(棒)。