ライブドアTechWaveとかブロゴスとか新聞とか雑誌とかどうなんの?

良質なテキストはお金にできる--ライブドアが考える「儲かるメディアの作り方」
http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20406976,00.htm

このスピード感だと、もう新聞と雑誌の境界線は限りなくあいまいになるんじゃないかというのがひとつ。
もうひとつはあくまで広告モデルにこだわり、広告モデルを突き詰めれば、まだまだ収益性は向上できるという、ライブドアの仮説が非常に興味深い。

新聞と雑誌の最大の違いは「締切」とか「発行間隔」であり、例えば雑誌の特集が新聞の論説よりも中身が濃くてためになるというのは、新聞よりも読者を待たせるメディアなんだからそのくらいやんなきゃ誰も買わないだろというマーケティングからの発想と、せっかく記事書く時間があるんだからもっと突っ込んで書きたいという作り手からの発想が一致した結果にすぎない。と思う。

締切も発行間隔も、そういう概念自体がなくなれば、そのメディアがWeb新聞なのかWeb雑誌なのかという議論自体が成立しなくなり、出版社的な組織や思考回路だと、これはちょっとついていくのが難しくなるんじゃないかと。なのでこういうメディアがライブドアというITベンチャーから出てきたのは必然だし、追従するところもたくさん出てきそうだ。

ライブドアとしては、ポータルからの流入が強みというが、一方で検索エンジンや他のブログからの被リンクが大事とも認めていたりする。もちろん両方なんだろうが、この強みについては決定的なアドバンテージにはなりえないかもしれない。それこそヤフーが専門メディア/ニッチメディアを本腰を入れてはじめたらどうなのかとか。ヤフーとしてはライブドアが育てたWebメディアマーケットがいい頃合に温たまってきてから参入しようか?くらいの戦略はとれそうだ。インフラについても、ヤフーは別としても、確かにライブドアには他社よりもアドバンテージがあると言える。ただしここも絶対的な参入障壁にはなりえないから、結局は面白い記事をどれだけ安定的に供給できるかという仕組みづくりにかかっている。

広告モデルについては、私もブロゴスとか見てて、ライブドアはどうやって収益化していくつもりなんだろうと疑問に感じていたところなので、実はその広告モデルをさらに突っ走っていきますという宣言が聞けて面白かった。もっともこの点については、仕掛け人の田端氏と、編集長の湯川氏の考え方が対照的。広告モデル(=メディアビジネス)で十分に勝算ありという田端氏と、周辺ビジネス(課金とか物販という意味だろうか?)を構築していかないとという湯川氏。私は後者だと思っていたので、田端氏の仮説は興味深かった。田端氏のいうようにニッチなニーズにきっちり答えていけば、現段階でも十分に成り立つビジネスなんだろうか?

ブロゴスについてはブログをかき集めただけじゃないかとか、TechWaveに関してはその取材姿勢はどうなんだとか、いろいろ突っ込まれる部分はありそうだが、個人的には便利に活用しちゃうだろうなという思いもあり、読み手側のリテラシーが求められるであろうことは確かだ。でも最近の世代(?)はなんかその辺ちゃんとしてそうな気もするので、大丈夫かなとは思うけど。

携帯にしろタブレット/スレートにしろPCにしろ、スクリーンの前で過ごす時間は今後も増え続ける一方なのは確かで、そういう時代に、ライブドアみたいにメディアを持ちたい(強化したい)ITベンチャーと、新聞、雑誌などの印刷媒体がにっちもさっちも行かなくなりつつあるマスメディア各社が、それぞれどんな手を打ってくるか非常に見物であります(今日はこんなエントリーばっかりだな。。。。orz)。

メディアに限らないけど、感覚的には、モノやサービスの価値がどんどんソフィスティケートされて、流通とか媒体とかブローカーがこれまで乗せてきた付加価値や上前が剥がれ落ち、モノ(書籍なら本の中身、メディアなら記事そのもの、アプリならアプリ自体)本来の価値に限りなく近いところまで、モノの価格が収斂していくような、そんな時代感覚を持ってます。電子化できるモノは特に。

自立志向の人には良い時代、組織に頼っていこうという人には難しい時代には間違いない。